
ステージ4乳がんを経験された漫画家・白戸ミフルさんの笑いあり、涙ありのエッセイ漫画をお届けします。
#8 恋をしたいけど…病気を打ち明けるのが不安と葛藤
【8話】
ステージ4乳がんサバイバー、絶賛婚活中の白戸ミフルです。
35歳で突然ステージ4の乳がんを宣告され、最短で抗がん剤治療を開始するかたわら、夢を追いかけたり、新しいことを始めたり、海外旅行したりと精力的に活動していた私だった。
治療に伴う心身の変化をきっかけに当時の彼氏と別れていたこともあり、合コン等にも積極的に参加していたところ、クリスマスパーティで運命の出会い!?があったのだ。
彼の名前は蓮くん(仮名)、32歳(3つ下)のイケメン商社マンだった。
前にも書いた通り、当時の私は抗がん剤の副作用で痩せて、幾分キレイになっていたこともあってか、普段は振り向いてもくれなさそうなエリートイケメンの蓮くんが、興味を持ってくれたのだ。
それから早速デートの約束をしたのだが…

蓮くんの家に1人でいったら…、そうなるに決まっている!
そうなりたくないワケじゃないけど、ウィッグのコトもあるし、その前に乳がん治療中であることを伝えないと…。
返答に困っていると、「髪キレイだよね」と彼が私の髪に触れたので、“ウィッグってバレちゃう!”と焦った私は、思わず彼の手を振り払ってしまった。
蓮くんは悲しそうな顔をして「俺のこと嫌いなの…?」と聞いてきたが、“むしろ、その逆!”と首をブンブン振る私。すると蓮くんは「良かった…じゃあ特別にキスしていいよ」と言ってきた!
その言葉に、“イケメンしか言えないセリフ!”と感心しつつも、“まだ付き合ってないけど…キスくらいいいか”と顔を近づけると、彼が私の首に手を回してきて、襟足のウィッグの付け根に触れそうになった瞬間…!
私は彼を突き飛ばしていた。
もちろん、ウィッグだとバレたくなかったからだ。
その行動は彼を傷つけ、結局その日で私達の関係は終わってしまった。
重い病気を患ってしまうと、そう簡単に人には打ち明けられない。
心配をかけたくないし、大げさに心配してもらうのも気が引ける。さらに恋愛相手となると、それがマイナスポイントになることが容易に想像できる。
当時は最初の治療である抗がん剤を何回かしただけで、治療の終わりも見えず、乳がん治療の不安で潰されそうになっていた時期だったこともあり、
「乳がんの話をして引かれたくない」「重病人は恋愛しちゃいけないのかも」
「治るという保証が欲しい」「死にたくない」「嫌われたくない」
とその夜は、声を上げて1人で泣いていたことをよく覚えている。
内容については個人の体験を元に構成したものであり、治療等の条件はすべての方に当てはまるわけではありませんし、治療方針については当社が推奨するものでもありません。ご自身の主治医とよく話し合い、最善の治療を選択してください。
1話 #1「自己紹介・乳がんを宣告されて10年経ちました」
2話 #2 合コン三昧だった35歳で直面「もしかして…乳がん?」
3話 #3 抗がん剤治療を始めることになったが…
4話 #4 初めての抗がん剤治療と彼氏との別れ、そして新たな決意
5話 #5 漫画とバイオリン、夢への再挑戦を始めたが…
6話 #6 抗がん剤治療後の旅行決行、私の選択の結果
7話 #7 治療中にモテ期到来!?がんが変えた私の視野
作者プロフィール

白戸ミフル
神奈川県出身。35歳の時に乳がんの宣告を受ける。平日は化粧品メーカーのマーケティングに従事しながら漫画家・ライターとしても活躍。趣味は海外旅行、キックボクシング、婚活。
闘病記に加えて婚活エッセイも数多く手掛けており、著書に『乳がんステージ4だった私が、それでも合コンに行きまくって救われた話』(キノブックス)など。
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