
乳がんの治療は、心と体の両面で大きな負担が続きます。そんな患者さんの気持ちに寄り添い、安心して通える場所をつくりたい。その想いから生まれたのが、女性のための乳腺専門クリニック「mammaria tsukiji(まんまりあ つきじ)」(以下、マンマリア)です。院長の尹玲花(いん・れいか)先生は、長年にわたり乳腺外科医として多くの患者さんと向き合ってきました。そんな先生に、クリニック開業への想いや、患者さんと向き合ううえで大切にしていることを伺いました。

尹玲花(いん・れいか)先生プロフィール
乳腺外科医。聖路加国際病院乳腺外科で約10年間、乳がん診療の最前線で豊富な臨床経験を積む。2017年に女性のための乳腺専門クリニック「mammaria tsukiji」を開院し、高い専門性に基づく質の高い医療を提供している。一方で、患者さんの気持ちに寄り添う丁寧なコミュニケーションにも定評があり、安心して相談できる医師として支持を集めている。
乳腺外科医を志した原点と「マンマリア」開院の背景
―医師を志した理由や乳腺外科を選んだきっかけを教えてください
尹先生:医師を志したのは、阪神・淡路大震災を経験し、「命と向き合う仕事がしたい」と強く感じたことがきっかけでした。
その中で乳腺外科を選んだのは、命にかかわるがんという病気と向き合いながら、診断から治療、そして治療後の生活まで、長い時間を患者さんとともに歩める診療科だと感じたからです。また、同じ女性として、患者さんの一番近くで寄り添いながら伴走できるんじゃないかなと感じた点が、乳腺外科を選んだ理由です。
―聖路加国際病院に勤務された後、「マンマリア」を開業されました。なぜ、個人クリニックを開業されたのでしょうか?
尹先生:じつは医師を志したときから、「女性のための乳腺クリニックをつくりたい」との思いがありました。きっかけは、学生時代に読んだフランスに住む日本人女性の乳がん闘病記です。
その本には、大きな病気になったとき、まずは身近なかかりつけ医に相談し、その後大きな病院と連携して治療を進め、治療がひと段落したらまたかかりつけ医の元に戻るという欧米の医療スタイルが紹介されていました。
今でこそ日本でもそのようなスタイルが広がっていますが、当時は「まずは大病院で診てもらう」という考えが一般的でした。日本にも「地域のかかりつけ医」と「専門病院」が連携する仕組みがあれば、患者さんにとってより安心できる場所になるのではないかと考えたのです。
その想いを形にしたのが「マンマリア」です。

患者さんの心と体に寄り添い、経験豊富な医師と連携スタッフが支えるマンマリアの診療方針
―長年の想いが詰まったクリニックなんですね。先生が乳がんの患者さんと接するうえで大切にしていることはありますか?
尹先生:「マンマリア」に来られる方の多くは、一度がんを患い、深く傷ついた経験を持つ患者さんです。そのため、私を含めスタッフ全員が、患者さんの気持ちを理解し、温かく寄り添う姿勢を大切にしています。
また、私自身も阪神・淡路大震災を経験し、人生では突然大きな困難に直面することがあると身をもって知りました。そのときのショックや、そこから立ち上がる過程を経験しているからこそ、患者さんの気持ちに寄り添える部分があるのではないかと思っています。
もちろん、医療体制も万全です。私は聖路加国際病院で10年間、乳腺外科医として多くの患者さんの診療に携わり、確かな経験を積んできました。現在は立川や神戸の分院でも診察を行い、同じ志を持つ医師たちと連携しながら、質の高い医療を提供しています。
在籍する医師やスタッフは、いずれも大病院で豊富な臨床経験を重ねてきたメンバーばかりです。どうぞ安心して私たちにお任せください。

さらに、「マンマリア」は聖路加国際病院のパートナークリニックとして連携しているため、同病院での検査や治療をスムーズに受けていただけるのも大きな特徴です。
情報発信・パーソナルフィットネス・日常生活サポートまで、治療を超えて乳がん患者を支える取り組み
―まさに、アットホームさと先端医療の両立をされているんですね。「マンマリア」では、企業とのコラボレーションによる情報発信や、乳がん経験者向けのパーソナルフィットネスの併設など、治療の枠を超えた取り組みにも力を入れていますよね?
尹先生:はい。企業とのコラボでは、乳がんを経験された方向けのセミナーやインスタライブを通して、乳がんに関する情報を発信しています。
また日常的な運動習慣は、乳がんの再発や転移などのリスクを下げ、予後の改善の効果も期待できるんです。そのため、乳がん経験者向けのパーソナルトレーニングを提供する『リオールジム』を併設し、スポーツ医学の博士号を取得したトレーナーによる乳がん経験者に適した運動の指導も行っています。
このような取り組みは、患者さんの生活そのものを支えたいという思いから始めたものですが、最近は患者さんご自身が積極的に情報を取り入れ、治療や生活に活かしてくださるようになってきました。その姿を見ると、良い循環が生まれていることを実感し、うれしく思います。
さらに、乳がん患者さんの日常に役立つグッズを揃えたセレクトショップを導入したり、LINEを使って日常的なお悩みに対応したりなど、さまざまな形でのサポートを行っています。より多くの患者さんに寄り添うためには、多角的な支援が必要だと考えているので、今後も新しい取り組みを積極的に取り入れていきたいと思います。

社会的ムーブメントへの貢献と、患者が自分らしく生きられる社会づくりを目指す院長の展望
―今後取り組んでいきたいことはありますか?
尹先生:私たちが行っている取り組みが、社会的なムーブメントにつながればと考えています。そして、がん患者さんが病気を隠すことなく、自分らしく生きていける社会づくりに貢献したい。そのための情報発信拠点になれたらいいなと思っています。
―最後に、現在乳がんの治療をしている患者さんへのメッセージがあれば教えてください
尹先生:乳がんの治療は長期にわたるため、それぞれの治療フェーズによって、お悩みや不安も変化します。言葉にできない感情を抱える場面もたくさんあると思います。
そんな患者さんの気持ちに寄り添い、日常生活における小さな悩みにもしっかりと耳を傾け、乳がんという病気の治療だけでなく、人生そのものを支える存在であれるよう、日々診療に取り組んでいます。
治療中も治療後も、そしてその先の人生も、患者さんのそばで伴走したい。そんな想いが、まだお会いしていない患者さんにも届いたらうれしいです。
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リオールジム
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