
「乳房再建」の確かな情報を全国に伝えるために、啓発活動を協働して行っている乳房再建経験者の真水美佳さんと形成外科医の佐武利彦先生。全国には、乳がん治療のときに、乳房再建という情報を伝えられていない地域もあります。情報格差、医療格差にはどのような課題があるのか?それをどう乗り越えようとしているのか?「草の根運動のように一歩ずつです」と話すお二人の啓発活動を聞きました。
取材・執筆/増田美加(女性医療ジャーナリスト)

佐武利彦(さたけとしひこ)先生:左
富山大学学術研究部医学系 形成再建外科・美容外科 教授 (診療科長)
久留米大学医学部卒業。東京女子医科大学形成外科、川口市立医療センター外科、2002年より横浜市立大学形成外科、2006年横浜市立大学附属市民総合医療センター形成外科准教授 (診療教授)を経て2020年より富山大学へ。
自家組織「穿通枝皮弁」による乳房再建では国内でも数多くの手術症例数を有し、高い成功率を誇っている。「あたたかく、やわらかく、美しい」乳房再建をめざす。日本乳房オンコプラスティックサージャリー学会 理事。著書に『乳がんを美しく治す』(扶桑社)『マンガと図解でよくわかる乳房再建』(講談社)ほか。
真水 美佳(ますい みか)さん:右
NPO法人エンパワリング ブレストキャンサー/E-BeC 理事長
2007年12月 両側乳がんの告知を受ける。
2008年3月 右乳房全摘、左乳房温存の乳がん手術と同時に、右乳房の自家組織再建手術を受ける。
2010年 自身の乳がん体験をもとに写真集『いのちの乳房-乳がんによる「乳房再建手術」にのぞんだ19人』 (撮影/荒木経惟、発行/赤々舎)を企画・出版。
2013年1月 NPO法人エンパワリング ブレストキャンサー/E-BeC設立。
2013年9月 「乳房再建全国キャラバン」をスタート。
2024年10月 2冊目の写真集『New Born -乳房再建の女神たち-』(撮影/蜷川実花、発行/赤々舎)を企画・出版。
国家資格キャリアコンサルタント、2級キャリアコンサルティング技能士、両立支援コーディネーター、NPO法人キャンサーネットジャパン認定乳がん体験者コーディネーター。
乳房再建外科医、佐武先生との出会い
増田美加(以下、増田):おふたりの出会いから生まれたさまざまな乳房再建の啓発活動によって、救われた方は全国にたくさんいらっしゃると思います。真水美佳さんが乳房再建手術の主治医として、佐武利彦先生と出会ったきっかけは、なんだったのでしょうか?
真水美佳(以下、真水さん):乳がんを告知されたあと、治療する病院が決まらず、乳がん治療と乳房再建をしてくれる病院はないだろうかとネットで必死に探しました。当時は乳房再建の情報があまりにも少なく、苦労しました。そんなときヒットしたのが、うきふねさんという方の乳房再建の体験談が書かれたブログでした。うきふねさんは、佐武先生が乳房再建手術を執刀した最初の患者さんだったんです。
佐武先生の予約が取れ、受診すると、乳がんの手術と乳房再建手術が同時にできるという説明を受け、ホッとしました。そのまま乳腺外科医の予約に回してもらい、乳がん手術と乳房再建手術を同時に行うことができたのです。
佐武利彦先生(以下、佐武先生):当時、勤務していた横浜市立大学形成外科で2003年に初めて乳房再建手術を執刀したところ、第一号の患者さん(うきふねさん)が非常に喜んで「先生はこれを生涯の仕事にしたら」と言って、ブログで全国に情報を発信してくださったのです。それをきっかけに、多くの患者さんが横浜まで治療を受けに来るようになりました。真水さんがいらしたのは、2008年ですから症例を積み重ねていたころですね。その後、約10年かけて自家組織(自分のお腹や太もも、お尻、腰の皮膚や脂肪を使って行う再建)による乳房再建を年間150ほど行うくらいに増えてきました。今は自家組織による乳房再建手術の総数は2500例(その内訳は、血管をつないで再建する症例(お腹、太もも、お尻、腰から移植)が2200例、血管がつながった状態のままで再建する症例(背中、脇、胸とお腹の境目から移植)が300例)になりました(2025年3月末現在)。
形成外科の治療は、結果が見た目ではっきりわかります。患者さんから高度な要望や厳しい指摘をいただくことも多かった。そういう患者さんのニーズを叶えることで、形成外科医としての技術を磨くことができました。私が若いころは、乳がんの患者さんは私より年上で、社会で活躍している方も多く、ご自分の思いを熱く語る方も少なくなかった。胸を再建するだけでなく、その方のバックグラウンドや仕事なども聞きながら、最適な再建方法を一緒に考えていきました。プレッシャーも大きかったですが、形成外科医として大きく成長できました。患者さんは医師にとって常に師匠であり、学ぶべき存在です。
真水さん:乳がんと診断される前に、乳がんで胸の切除したフランス女性たちの写真展のニュースが放送されたのですが、そのときは画面を見ていませんでした。自分が乳がんと診断され、あのとき、ちゃんとニュースを見ておけばよかったと後悔しました。手術した胸がどのようになるのか知りたかったのです。自分が乳がんと診断されたときは、周りに乳がんの患者さんがいなかったので、術後の胸を知ることができませんでした。
きっと乳がんと診断された人は、私と同じように術後の胸がどうなるのかを知りたいと思い、手術後、佐武先生が2009年に出版された『乳がんを美しく治す』(扶桑社)に私の胸も出していただきました。
そんなこともあり、乳房再建手術の実際を多くの人に知ってもらうことは大切だと思い、乳房再建経験者の写真集を作ろうと思い始めました。
そして、2010年に出来上がったのが写真家・荒木経惟さん撮影の『いのちの乳房~乳がんによる「乳房再建手術」にのぞんだ19人』です。写真集には、佐武先生の患者さん第一号、うきふねさんも登場。乳房再建手術の医療情報も入れて、佐武先生に監修していただきました。
その後、「乳房再建全国キャラバン」で地方都市に出かけ、地域の医師とともに乳房再建の情報を伝えるセミナーを開いたり、乳房再建についてもっと知ってもらおうと10月8日を「乳房再建を考える日」として記念日登録を行なったりもしています。佐武先生は、これらのE-BeCの活動にいつも寄り添ってくださっている存在です。

乳房再建手術を行なう全国の現状
増田:全国キャラバンや記念日登録で、乳房再建の一般への啓発活動をしている背景には、乳房再建の地域格差をなんとか埋めたいというお二人の思いがあるかと思います。都市部と地方で乳房再建手術ができる施設数に差がある現状を、どのようにとらえていらっしゃいますか?
佐武先生:いまだ、大学病院では乳腺外科・乳腺科の診療部門が独立しておらず、総合外科、消化器外科などの中で存在しています。消化器外科の中で頑張っている乳腺外科医も多く、そういった病院では、マンパワーも不足していて乳房切除までしか手が回らず、形成外科とコラボして乳房再建まで行える状況になっていない施設も多いのです。
乳房再建を行なうには、乳房再建を志向する形成外科医と、乳房再建に理解のある乳腺外科医の存在がなくてはなりません。乳腺外科医と形成外科医のチームができている必要がありますが、乳腺外科が診療科として独立していない医療施設ではそれが難しい。全国に乳腺外科専門医は2005名(2025年1月現在)、形成外科医専門医2914名(2022年8月現在)は予想されていたより少ない数にとどまっています。国立大学病院でさえ、形成外科診療部門がない施設がまだまだあるのです(鹿児島大学、旭川医科大学、富山大学などにはここ数年で形成外科部門ができました)。
下記の都道府県別の乳房再建率を見ても、東京、大阪などの大都市圏が高い現状です。富山、沖縄、広島の再建率が高いのは、乳房再建を行なう熱意ある医師がいる地域だからです。医師が一人いるだけで地域医療は変わります。

患者が感じた乳房再建の格差とは?
患者の一人として、地域格差を実感したのはどのようなきっかけだったのですか?
真水さん:写真集を出したあと、ボランティアで乳房再建ミーティングお手伝いをしていたら、関西や中部からわざわざ東京まで、情報を得に来ていた方々と出会って驚きました。ご自分の地元では乳房再建を行なえる施設がないと言っている人もいました。さらに、乳がんで乳房全摘手術を行なった人でも、乳房再建という選択肢があること自体を知らない人もいました。このとき、地域格差を大きく感じましたね。地方の方が東京に来て乳房再建手術を受けるよりも、地元で受けられたほうが安心だし、安全。写真集を出版したことで、いろいろな声を聴く機会に恵まれ、地域格差解消のために私も何かしなければ、と思いました。
まずは、「乳房再建」という言葉を知ってもらうことが必要。写真集をもって全国キャラバンをしよう! 地域を回って地元の乳房再建をする形成外科医や乳腺外科医に登壇してもらい、地域ニュースにも取り上げてもらうことで、啓発活動に広がりが出るのではないかと考えました。第1回(2013年)は札幌で開催。その後、松本、静岡、京都、大阪、岡山、広島、福岡、京都、仙台、金沢、横浜、東京…とセミナーを行なっています。
ちょうど2013年は、インプラント(人工物)による乳房再建が保険適用になり、乳房再建を行なう医師が増えていくことを期待していた時期です。地域で乳房再建を受けられる医師がどこにいるのかを知りたいと思っている患者さんが多いこともわかりました。
なぜ医療格差が埋まらないのか? 形成外科医の不足の問題
乳房再建が保険適用になったあと、医療の現場では、どのような状況だったのでしょうか?
佐武先生:地方の大学病院の形成外科では、がんの再建医療が主業務で、特に頭頸部がんの割合が高く、ニッチな領域かつハードワークが求められます。また少ない形成外科医で、多くの診療範囲をカバーしなければいけません。そのため、乳房再建まで手が十分に回らないというのが実際だと思います。
自家組織による乳房再建は、マンパワー、術後の管理も必要で、人員や施設が整ったハイボリュームセンターの施設(年間の手術件数や治療件数が多い医療機関)で行うべき治療内容だと思います。
今後も乳房再建のメインは、2013年に保険適用となったインプラント(人工物再建)であることは間違いありません。しかし、近年徐々にではありますが、自家組織再建のニーズが増えてきています。ところが地方では、形成外科医の医師不足も深刻で、自家組織再建までの対応が難しいのが現状。結局のところ、インプラントによる乳房再建を行うのが現実的な落としどころかもしれません。
医師国家試験合格者数が9486人(2025年)であっても、若い医師(初期研修医・専攻医)の大都市(首都圏)志向が益々加速しています。少子高齢化、人口減少により、地域の基幹病院の集約化が今後10年の間にさらに進み、方都市では診療拠点が今以上に減ることが予想されます。
医師の働き方改革、ライフワークバランス重視も相まって、近年では内科系(消化器科、循環器科)、総合診療科などを希望する医学部生、初期研修医が多く、さらに直美(ちょくび)(初期研修後にすぐに美容外科、美容皮膚科へ行く)医師も増えており、社会的な問題となっています。 一方で消化器外科医は、医師の高齢化と若手医師の志望減により、このままの状況が続けば、20年後には16000人 → 8000人と半数になるのではと予測されています。さらに形成外科は、不人気の診療科です。
乳房再建の自家組織だけでなく、インプラントによる乳房再建も保険適用となりました。険医療制度は、全国で一律の医療を受けられるのが前提ではありますが、医療機関(大学病院、基幹病院など)の診療科長や担当医の経験や志向などにより、提供できる診療内容が施設ごとに異なります。そこに在籍している形成外科医のキャリア、専門性、考え方も異なるため、提供できる診療に違いが出てしまうのは否めません。
今後、地方の患者さんがよりよい医療にアクセスしたい場合は、乳がんは地元病院で治療して、乳房再建は首都圏の専門病院という選択肢を考えることも大切かなと思います。
当事者視点で考える乳房再建の課題とは?
当事者視点でみると、真水さんは今の乳房再建の現状をどうとらえて、課題解決のためには、何が大切と思いますか?
真水さん:患者の立場からすると、まず改善したいのは、情報の格差です。乳がんになって気が動転しているところに、乳房再建という言葉すら知らない状態では、再建をするかしないかの選択さえできません。主治医である乳腺外科医から乳房再建の情報を患者に与えてほしいのです。乳房再建をした人も周りにいない、医療者からの説明もないのでは、情報を探す手掛かりさえ持てません。
たとえ、その医療施設で乳房再建が行えなくても、乳房再建という選択肢があり、希望するかしないかを考えるチャンスを与えてください。希望する場合は、乳房再建ができる病院リストや再建情報を得られるサイトなどを紹介いただくことはできるかと思います。乳房再建をすることで、術後のQOL改善効果があることなどの情報だけでも与えてほしいです。
乳腺外科医の言葉は重要です。そのニュアンス次第で印象や決断が大きく変わってしまいます。たとえば、主治医(乳腺外科医)と家族が一緒にいる面談のときに、「再建したい」と話したところ、「えっ、再建するんですか?」と主治医が言うと、家族は主治医が勧めないのだから「やらなくて、いいんじゃないか」と思ってしまいます。
佐竹先生:医師は病気を治すだけでなく、治療後には後遺症があればそれを解決して、これまでと同じ生活ができるように戻してあげることが大事だと考えています。
経済負担を考えたら、1回で乳がん手術と再建手術ができる(一次再建)ほうがいいかもしれませんが、施設によってはマンパワーもあり、全てに対応できないこともあります。まずは、がんをしっかり治し、乳房再建は後日、他施設でじっくり行う(二次再建)という選択も可能です。
もちろん、施設によってできる、できないはあるかと思いますが、乳がん手術のときにエキスパンダー(本番のインプラントを入れる前に皮膚や筋肉を伸ばすために入れるもの)だけでも入れてもらうことができれば、術後に胸の喪失感なく過ごすことができますし、次の再建へのステップとなります。

患者さん&市民への情報格差を埋めるための取り組み
患者が納得して選べる医療環境づくりには、何が必要でしょうか?
佐武先生:医療者だけでなく、患者さんの視点を取り入れて、診療プラットフォームやコンテンツの構築を医療機関、医療マネジメントの立場から考えることが大切だと思います。それには、医療機関にも外部有識者の意見を入れる必要があります。医療者・医療機関が患者サービスの視点、クオリティーマネジメント的な視点をもって、医療を受けたことによる患者さんのサティスファクション(満足度や達成度)などを知る評価制度も導入したいところです。
乳がんの患者さんは、年齢層が幅広く、地方から都市部まで環境はさまざまで広域です。みなさんに一様に情報を届けるようにするは、関係学会と医療施設と当事者やサバイバーの方(ピアサポート)からの3方向からの発信が必要だと思います。
関係学会(日本形成外科学会、日本乳癌学会、日本乳房オンコプラスティックサージャリー学会)からの情報コンテンツとしては、動画、小冊子、ホームページ、地方都市を回っての講演会などの啓発活動を行っています。
各医療者や医療機関からの情報発信は、ホームページやSNSなどを通じて行っており、患者会さんやピアサポート活動事業からは、リアル&オンラインセミナー、小冊子、SNSなどで行われています。
いずれも草の根的な活動ではありますが、ジグソーパズルのピースをひとつずつ当てはめていくように、これらを積み重ねていくことは大事だと思っています。
真水さん:2024年10月8日に記念日登録した「乳房再建を考える日」のシンボルとしてクローズドリボンがあります。クローズドリボンとは、乳がんで乳房を失っても、「再建する」「しない」を自分で選べる選択肢をもてること。乳房再建とはどんなものかを「知ってから自分で選ぶ」ことが大切であることを伝えるシンボルです。このクローズドリボンを知っていただく啓発活動は、学会や医療者(医療施設)の先生方にも協力いただいています。3者がひとつになって連携し協働して情報発信していきたいと思っています。
今年もクローズドリボンの記念日に因んで、10月8日~11日まで先生方に協力いただいて、オンライン&リアルセミナーを行ないます。

【クローズドリボンウイークセミナー】⇒
2025年10月8日(水)~10日(金)乳がんと乳房再建を学べるオンラインセミナー
https://event10080910.peatix.com/view
2025年10月11日(土)乳がんと乳房再建の最前線リアルセミナー @東京・銀座
https://ebecevent1011.peatix.com/view
佐武先生:今年(2025年)は、乳房再建の医療者の学会である「日本乳房オンコプラスティックサージャリー学会」を富山で行います。この学会に繋げて「患者・市民参画プログラム」「ピンクリボンウオーク」を開催。全国規模の学会のレガシーを富山に残して、次年度にも繋いでいきたい。富山の若手の医師、看護師さんに参加してもらい、今後持続可能な啓発活動にしていこうと企画しています。医療者と患者さんだけでなく、乳がん医療を理解していただくために行政、政治の方々にもピンクリボンウオークに参加してもらい、大きな力として一段レベルアップした啓発にしたいと考えています。
【第13回日本乳房オンコプラスティックサージャリー学会】
患者・市民参画プログラム&ピンクリボンウオーク2025 ⇒
2025年11月1日(土)~2日(日)
https://jopbs2025.umin.jp/citizen.html
「一人じゃない」「声を上げていい!」
増田:最後にお二人からそれぞれ、乳房再建を迷っている人、検討していく人へのメッセージをお願いいたします。
真水さん:乳がんを告知されると、否が応でも自分の人生や自分の病気と向き合って過ごすことになります。乳がん治療を選択するときには、情報収集して納得する治療を選ぼうとすると思います。それと同じように、自分の希望ややりたいことを継続できるように、周りに流されず乳房再建を考えることができます。どうしたらいいか迷ったら、ぜひ同じ経験をした仲間であるピアサポーターや患者会を頼ってください。一人じゃないことを忘れないでください! もちろん情報を収集した結果、再建しない決断を選択するのでもいいのです。
相談会や乳房再建ミーティングにいらした方から、「勇気を出して初めて参加してよかった」「一人で考えているより、違う世界が見えてきた」という感想をよくいただきます。先日、「孫ができて一緒にお風呂に入りたいから再建する」という方もいらっしゃいました。もし、失ったものを取り戻したいと思われたら、それは選択できるのです。声を上げていいんです。歯を失ったら入れ歯を入れるように、乳房を失ったら再建する。特別なことではないと思っています。
佐武先生:乳がん治療によって、自分の体の一部分を失うことで、生活上の不具合、不都合、精神的ダメージ、罹患したつらさを感じます。乳房再建は、それらを解消するために行うことでもあると思います。
乳がん治療による身体的不具合があったとしたら、乳房再建という治療でまずそれを改善して、以前の生活を取り戻すことをお手伝いしたい。乳房再建は、乳がん治療の満足度を高めて、治療後の人生をポジティブに生きるための扉を開くものです。胸を人に見せなくても、治療前の自分に戻って、今までと変わらない人生を生きるために必要と思う人には、大切な治療です。
私たち形成外科医は、がん治療はしませんが、生きていくために必要なものを作るクリエイティブな仕事をしています。単に胸をつくって差し上げるだけなく、患者さんをよりよい人生に導くための大切な仕事だと思って行っています。
患者さんから、「乳房再建があったから、つらい治療を乗り越えられた。乳房再建を受けてよかった」と言ってもらえることが、次の治療に向かうエネルギーになっています。

『New Born ‐乳房再建の女神たち‐』(赤々舎・2024年)
写真 蜷川実花、企画 NPO法人エンパワリング ブレストキャンサー/E-BeC
NPO法人エンパワリング ブレストキャンサー/E-BeC
https://www.e-bec.com
乳がんと診断され、戸惑いや不安の中にいる方、あるいは手術による喪失感にとらわれている方が、「乳房再建という選択肢があることを正しく知ったうえで、自分らしい選択ができる」ことを目的に活動。乳房再建手術についての詳しい情報や乳房再建のセミナー情報などについてもホームページに掲載されている。

取材・執筆/増田美加(女性医療ジャーナリスト)
当事者視点に立った女性のヘルスケアや医療情報について執筆、講演を行う。
乳がんサバイバーでもあり、がんやがん検診の啓発活動を行う。
NPO法人「乳がん画像診断ネットワーク(BCIN)」副理事長。NPO法人「女性医療ネットワーク」理事。NPO法人「キャンサーネットジャパン(CNJ)」乳がん体験者コーディネーター。NPO法人「日本医学ジャーナリスト協会」会員。
増田美加オフィシャルサイト http://office-mikamasuda.com/