がん経験者と語り合う「未来の意思決定」〜ゲームで始める“もしも会議”イベントレポート〜

2026.01.08

普段は、つい、後回しにしてしまう「いつか」「もしも」のお話。 

人生において大切な決断をするとき、「自分は何を一番大切にしたいか?」を明確にしていますか?多くの人が「重要だとわかっているけれど、難しそうで避けている」のが、ご自身の未来の意思決定です。 

MICIN少額短期保険では、2025年11月にがん経験者を対象にしたイベント「ゲームで始める”もしも会議”」を開催しました。 

本イベントでは、カードゲーム形式のワーク「もしバナゲーム」を通して、ご自身の心の声や、参加者の多様な価値観に耳を傾けることで、「自分らしい生き方」を見つめ直す気づきを得る場となりました。本記事では、当日の模様をレポートいたします。 

<ファシリテーター> 

Profile
豊原 亮子さん
 
理学療法士・もしバナマイスター 岩手県出身、1980年生まれ。2002年より理学療法士として、回復期病院、在宅医療、障害福祉の現場に従事。現在は板橋区立障がい者福祉センターにて勤務。もしバナマイスターとして、人生の最終段階や大切にしたい価値観について、安心して語り合える場づくりを実践。臨床経験を土台に、一人ひとりの思いに丁寧に寄り添う対話を大切にした場づくりを行っている。

もしバナゲームの概要 

・使用カード: 36枚の「価値観カード」(例:「ユーモアを保ち続ける」「家族の負担にならない」「痛みが苦しくない」など)。 

・ルール 

  1. シチュエーション(「余命1か月と宣告された」など)とゲームを進行する順番を決め、ファシリテーターが全員に5枚のカードを配ります。 
  1. 各ターンで、手札の5枚と場に出されたカードから自分の価値観に合うと感じたものを1枚選んで交換するか、「パス」を選択します(最初のターンだけは必ず交換します)。 
  1. 全員が「パス」を選ぶか、特定の回数交換が行われると場札がリセットされ、新たなカードが補充されます。 
  1. 最終的に手元に残したカードの中から、自分にとって最も大切な「ベスト3」を決定し、残りの2枚を「手放す」というプロセスを行います。 
  1. カードを選んだり手放したりするたびに、なぜその選択をしたのかを他の参加者に説明し、意見交換を深めます。 

ワークショップを通じて見えた「大切なもの」 

カードゲームを通じて、参加者の皆さまからこぼれ落ちた「本音」と、日々の生活を支える「深い気づき」。最終的に手元に残ったカード、そして熱心に語られた選択の理由には、参加者お一人おひとりの人生観が色濃く反映されていました。 

今回、特に多くの方が自身の手元に残されたのは「家族の負担にならない」というカードでした。自分の最期や療養期間が、心身ともに家族の重荷になってほしくない。そんな大切な人を想う強い気持ちから、この価値観を最優先に考える方が多いようです。 

また、「ユーモアを保ち続ける」という選択も目立ちました。たとえ苦しい治療の中でも、自分らしさを失わず、明るさや笑いを活力にして乗り越えていきたい。そんな前向きな意志が、言葉の端々に溢れていました。 

さらに、「私の思いを聞いてくれる人」の存在を重要視する声も多数上がりました。医療的な処置はもちろんですが、それ以上に「自分の気持ちに寄り添い、安心させてくれる人」を求めているという実感を共有いただきました。 

この「聞いてくれる人」は、必ずしも医療者に限りません。友人や近所の方など、身近な人々による「傾聴のネットワーク」が、いかに私たちを支えてくれるかという大切な気づきもありました。 

まとめ 

今回のワークショップは、普段はつい後回しにしてしまうテーマについて、じっくりと向き合う貴重な機会になったようです。 

参加者の方からは、「自分が望んだカードが手元に来るわけではなく、その時与えられた状況で意思決定しなければならないところにリアリティーを感じたし、そのおかげで新しい価値観に気づくことができました」「ここ数ヶ月一人で悩み続けていましたが、言葉にして外に出したことで、心がふっと軽くなりました」「ここに来ると味方がたくさんいると実感でき、勇気づけられます。このゲームに出会えて本当に良かったです」といった、温かいお声をいただきました。 

価値観は一人で抱え込むものではなく、周囲に「伝えておくこと」で形作られるものかもしれません。そんな繋がりの大切さを再確認する時間にもなったはずです。 

また次回も開催しますので、ぜひお気軽にご参加ください! 

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