
がんを経験した方の中には塩分摂取を控えている方も多くいます。
塩分の摂りすぎはむくみ(浮腫)にも繋がるため、注意したいところですよね。
そんな方のために、手軽に作れてしっかり美味しい無塩の一品をご用意しました。
煮物は塩分が多いため、減塩を心がけている方にとっては積極的にとりにくい料理の一つではないでしょうか。今回はそんな方でも安心して食べられる、無塩で作れるじゃがいもの煮物を紹介します。
ポイントは、しっかりと出汁をとることです。さらに出汁の種類は、うま味を感じやすい、いわしの削り節を使います。いわしから出る豊かな風味が、料理全体を引き立てます。
さらに、みりんを加えることでコクも出て、無塩でも十分な味わいを楽しむことができます。
じゃがいもの煮物のレシピ

20分

- じゃがいも 2個
- さやいんげん 3本
- 玉ねぎ 1/4個
[煮汁]
- 昆布、いわし削り節出汁 1カップ
- みりん 小さじ1
- (お好みで)減塩しょうゆ 小さじ1


① じゃがいもは皮をむき、縦4等分にし、2㎝幅のいちょう切りにする。5分ほど水にさらしアク抜きをする。

② さやいんげんは筋を取り5mm幅の斜め切りにし、玉ねぎは薄切りにする。

③ 鍋に煮汁とじゃがいもと玉ねぎを入れて蓋をし、中火で約8分煮る。さやいんげんを加え、蓋をとりさらに2分煮て完成。

しょうゆは最後にお好みで加えてください。
出汁は、昆布を前日から水に漬けたものと、いわしの削り節を加えて弱火で3~4分煮出してから濾して作るのがおすすめです。
昆布にはグルタミン酸、いわし節にはイノシン酸という、うま味成分が豊富に含まれているため、相乗効果でより美味しい出汁が出来上がります。
顆粒だしの使用は手軽ではありますが、風味が弱く、添加物や塩分を含むものが多いため使用する場合は注意が必要です。

じゃがいも:じゃがいもはコラーゲンの合成や骨、血管を強化すると言われているビタミンCをりんごの約10倍も含んでいます。通常ビタミンCは熱に弱いビタミンですが、じゃがいもは加熱してもビタミンCが壊れにくいのが特徴です。また、ビタミンB6も豊富で、貧血や肌荒れ予防に役立ちます。
さやいんげん:さやいんげんには、骨の強化に関与するビタミンKや、皮膚の粘膜を丈夫にするβカロテン、便通を整えて便秘を防ぐ食物繊維が豊富に含まれています。さらに、疲労回復や体組織修復を促し、肌や皮膚を整える働きがあるアスパラギン酸というアミノ酸も多く含まれています。
<レシピ監修>
沼田春美(ぬまた・はるみ):家庭料理研究家/無塩料理研究家

1970年より家庭料理教室を自ら主宰
・18歳で岡松喜与子料理教室に入室
・新橋・料亭『京味』西健一郎氏に師事
・銀座三笠会館にて和食・洋食・中華の研鑽を積む
上記活動に加え、体に負担の無い無塩調理の研究に従事。2010年より無塩調理法に則した病床料理教室を開催し、がん患者・その家族に対して食事療法を提供
インスタグラムアカウント
https://www.instagram.com/muenchori/
<文・写真>
山﨑麻未(やまさき・あさみ)
管理栄養士・調理師
病院管理栄養士として7年間、調理業務・献立作成・栄養指導に携わる。
現在フリーランスとしてレシピ開発や特定保健指導を行っている。