抗がん剤の治療中、くすみや黒ずみのため目元のメイクがどうもうまくいかない…とお悩みの方は少なくないでしょう。また、まつげが抜けてしまい、顔の印象が変わってしまったと感じる方もいらっしゃるようです。
そこで、ナチュラルで明るさを感じられるメイクのコツや、抜けてしまったまつげをメイクやつけまつげでカバーする方法を分かりやすくお伝えします。今回も、乳がんを経験されたAYA世代のEMIさんがモデルとなり、メイクアップアーティストの合田和人さんが簡単で“使える”目元メイクのハウツーを伝授します!
EMIさん:私の場合、抗がん剤治療を始めてからくすみがまぶたや目の下などに出やすくなりました。でも、それに対応した目元メイクの情報があまりなくて…。どんなアイテムや色を使えばいいか分からず、結局、無難なブラウンとかを使っていました。
合田さん:目元がくすんだように見えると疲れた印象になりがちですから、お困りだったでしょうね。アイメイクでおすすめのカラーは暖色系です。ベースメイク編で、ファンデーションやフェイスパウダーでくすみをカバーしましたが、その際に、血色も抑えているんです。ですから、暖色系のアイシャドウで血色を取り戻すイメージで使います。
EMIさん:そうだったんですね!あとは、まつげが抜けてしまって、どこにアイライン引けばいいかわからないのも悩みでした。
合田さん:それは大変でしたね。まつげが抜けてしまうと、確かにアイラインを引くのが難しいと感じる方もいると思います。でも、アイシャドウをうまく使ったり、アイラインを引くことで目元が生き生きした印象を取り戻せるので、ぜひコツを覚えてほしいですね。
モデル:EMIさん
2021年8月に右胸のしこりに気づき、34歳でトリプルネガティブ乳がんに罹患。抗がん剤、手術、放射線と約1年間治療しながらInstagram (@breast_cancer_emi34)を中心に治療のリアル、かかった費用などを発信。現在は、復職し働きながらも「人生楽しんだ者勝ち!」をモットーに日々過ごしている。
メイクアップアーティスト:合田和人さん
中条あやみさんや山本美月さんなど、著名人をはじめ、ファッション誌やテレビ、CMなど、多方面で活躍するメイクアップアーティスト。美容家として幅広く活動しながら、フォトグラファーや人物のプロデュースなどにおいても多才さを発揮している。
目元の印象を明るく“魅せる”おすすめのアイテムは?
あまたある目元を彩るポイントメイクのコスメの中から、ナチュラルで明るい目元を演出するアイテムをセレクトしてご紹介します!
「アイシャドウ」
・パウダータイプは、色づきが柔らかで扱いやすいのでおすすめのアイテムです。
・色は、暖色系を選ぶと肌を明るく見せる効果が期待できます。
・濃いブラウン系はアイライナーの代替にもなるので持っていると便利。付属のチップは、先の細いものを選ぶといいでしょう。
「アイライナー」
・初心者の方には繰り出し式のペンシルタイプが扱いやすいでしょう。
・アイラインを引くのに慣れている方には、肌あたりが優しい筆ペンタイプのリキッドアイライナーもおすすめです。
・色は、アイシャドウやつけまつげとの色なじみがよいブラウン系を選ぶとナチュラルに見えます。
「つけまつげ」
・初心者の方には、黒よりも柔らかさがあり、メイクとのなじみもよいので茶系がおすすめです。
・まつげの長さは短め、量も少なめのものからトライしてみましょう。
・軸(まぶたにのりで接着する部分)の幅は細いほうが扱いやすいです。
・つけまつげをカットするためのはさみや、つまむピンセット、のり代わりのアイプチ、自まつげとなじませるためのマスカラなどもあると便利です。
ナチュラルで健やかに見えるアイメイクのHOW TO
○アイシャドウの塗りかた
・アイホールに薄く広く塗りましょう。目を開けたとき、うっすらとアイシャドウが見えるくらいの幅が目安です。
・幅が広めのチップでも、指先でもご自分が塗りやすいほうを選んでください。
・アイメイクに慣れてきたら、流行りのなみだぶくろメイクにも挑戦してみましょう。ブラシで下まぶたにうっすらと入れると、上品でかわいらしい目元を演出できます。
○アイラインの引きかた
・アイラインはまつげの生え際、眼球の黒目の大きさに合わせて、まぶたの真ん中あたりに引くとナチュラルに見えます。
・目じりよりも長く、はねあげるようにラインを引くとモードっぽい印象に。
・まつげが抜けてペンシルで引くのが難しい方は、濃い目のブラウン系アイシャドウをアイライン代わりに使いましょう。先端が細いチップで、目頭から目じりまでライン状に引きます。下まつ毛の部分にも薄くアイシャドウでラインを引きましょう。
・濃い目のブラウン系アイシャドウでラインを引いた上に、リキッドのアイライナーで補正すると、さらにぱっちりと印象的な目元になります。
EMIさん:暖色系のアイシャドウは使ったことがありませんでしたが、確かに明るく見えますね。アイラインもいろんな方法があるので、肌の状態やまつげの状態に合わせて選べそうだなって。
合田さん:アイシャドウは指でちょんちょんと塗れば、ものの数秒でメイクができますし、アイラインも引くと目元がぐっと印象的になります。決して難しくないので、ぜひ取り入れてほしいですね。
目からウロコ!!コツを押さえれば意外と簡単!つけまつげで目元を華やかに彩ろう
目元を華やかに演出できるつけまつげ。「派手になり過ぎたらどうしよう」「扱いが難しそう…」など、興味があってもなかなか手が出せないという方もいるでしょう。最近は100円ショップなどでも手に入りますから、コツを押さえて気軽に挑戦してみてはいかがでしょうか。
〇つけまつげの付けかた
<準備>
・商品トレーの台紙からつけまつげをゆっくり、丁寧にはがします。
・目元の幅に合わせて、つけまつげの幅をカットします。
・幅が決まったら、つけまつげの目頭側から真ん中あたりまでを少しカットするといいでしょう。とくに目頭は、まつげが長いと不自然に見えるので気を付けたいポイントです。
・つけまつげのベース糸の両端を持って、曲げたり伸ばしたりを10回程度します。
・初めて使うつけまつげは、ベース糸の部分が固く、ハリのある状態です。そのままつけると、ベース糸の反発力で、目の丸みに沿わせづらいことがあるため、柔らかくすることで、目元に沿いやすくします。
<本番>
・いきなりベース全体にのりをつけず、目頭、中央、目じりあたりの3カ所くらいにのりをつけ、目元に置いて位置決めをします。
・付ける位置が決まったら、軸全体にのりをつけて、つけまつげを目元にしっかり留めます。
・のりをつけすぎると、つけまつげからはみ出てしまったり、乾きにくくなるので、つけすぎには気をつけましょう。
・つけまつげ専用のりは強力に接着できるものが多く、抗がん剤やホルモン剤治療中でデリケートになっている肌には刺激になることも。肌荒れなどが心配な方は、アイプチなどをのりの代わりに使うのもおすすめです。
<仕上げ>
・自分のまつげが少し残っている方は、つけまつげと自まつげをなじませるために、まつげの根元にブラウン系のマスカラを塗るといいでしょう。短い自まつげが逆さまつげになるのを防ぐ効果も期待できます。
EMIさん:つけまつげって、カットしてもいいんですね!目からうろこでした。以前、つけまつげをつけたとき、「長すぎるな…」と思ったけど、そういうものなんだろうなって。
合田さん:目じりは多少長くても自然に見えるのですが、目頭あたりが長いといかにも“つけてる”って感じになってしまうんですよね。
EMIさん:分かります。そういえば、専用のりが私には強すぎたので、途中からアイプチで代用するようになりました。
合田さん:治療中は角質層がデリケートなので、接着力は少し弱くてもそのほうがいいと思います。賢明なご判断だったと思いますよ。
明るく印象的な目元で気持ちまで晴れやかに
EMIさん:ナチュラルで明るく見えるメイクをしていただいているうちに、どんどん気持ちも明るくなってきました。
合田さん:メイクには、そうした心にも前向きな作用があると思います。なみだぶくろメイクやつけまつげなど、難しそうに感じている方も、実際にやってみると「案外、簡単かも」と思っていただけるんじゃないでしょうか。今っぽさも感じられて、ご自分をかわいく見せるメイクなども少しずつ取り入れていくことで、気持ちまで明るくなったら嬉しいです。
明るく健やかに見える目元のメイクはいかがでしたか。肌のくすみや脱毛などのお悩みをカバーし、明るく印象的な目元を演出してくれるメイクにトライしてみてくださいね。