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がんでもキレイをあきらめない〜オンナたちの本音大公開〜イベントレポート

2022.12.14

オンラインカフェ会特別編
がんでもキレイをあきらめない
~オンナたちの本音大公開~

乳がんの治療には見た目の変化や服薬による体調の変化がつきものです。「乳房摘出をすることで着られる服が変わった」、「抗がん剤の副作用で脱毛してしまった」というのは、多くの体験談で語られている部分ではありつつも、やはりいろいろな体験談を聞いてみたくなってしまうものではないでしょうか?

そこで今回は、MICIN少額短期保険とNPO法人のスマイルハートが共催した、女性特有がん経験者限定のオンラインイベント、『がんでもキレイをあきらめない〜オンナたちの本音大公開〜』の様子を特別にご紹介。スペシャルゲストはタレント・声優の矢方美紀さんと、モデルの園田マイコさんという、「見られる仕事」で活躍中のお二人です。すぐに使えそうなテクニックや、メンタル面のアドバイスなど、必見の内容です。

ゲスト紹介

矢方美紀さん:元SKEチームSのリーダー。2018年、25歳のときにステージ2Bの乳がんにより、左乳房全摘出の手術を受ける。がんになっても夢を諦めず、前向きに生きる姿をブログや声優などの芸能活動を通じて日々発信している。

@miki_yakata

園田マイコさん:多くのファッションショーや、女性誌でモデルとして活躍。2008年、39歳で乳がんと診断され、温存手術を受ける。その経験をもとに著書「モデル、40歳。乳がん1年生。」を執筆。公園などを通じ、ピンクリボン運動にも力を入れている。

@_sonoda_maiko_

橋口絵里奈さん(ファシリテーター):NPO法人スマイルハート代表理事。2015年、右胸と左胸の乳がんが発覚し、両側全摘同時再建手術を受ける。多くの人のサポートに支えられた経験から、がん患者さんと社会との架け橋となるべく、同NPO法人を設立。

@smile_heart_tomoeri

\限定公開!イベントのアーカイブ画像はこちら/

https://youtu.be/wLO0XoRq_00

※本アーカイブ動画は、2023年3月31日までの限定動画です。どうぞ、お見逃しなく!

乳がん治療中のアイメイクについて

アイメイク用品

橋口:眉毛やまつ毛が抜けてしまったりしたときに、どうやってメイクでカバーしたのか、お二人の経験を伺いたいのですが、矢方さんはいかがでしたか?

矢方:乳がんになって抗がん剤治療を始めたときに、私の場合、まず髪の毛が抜け、その次にまつ毛や眉毛も抜けました。肌がちょっとむくんできたり、ぼろぼろになっちゃったりということもあったんですが、最初の内はメイクでどうやってカバーすればいいかわからなかったんですよね。あるとき、病院で相談してみたら、病院がつくったリーフレットに様々なメイク術が書かれていたので、それアレンジして少しずつコツを掴んでいきました。たとえば、眉毛については、当時流行っていた韓国コスメの眉毛ティント(眉の地肌の角質層に色素をつけることで、眉メイクをキープしてくれるアイテム)が使えるのでは?とひらめいて、眉毛が全部抜けてしまう前にティントで眉の形を色素沈着させ続けてしのいでいました。

橋口:ティントは色落ちしないんですか?

矢方:もちろん落ちるんですけど、形はキープされるのでそれだけでもだいぶ描きやすくなります。それプラスで眉用のトップコートを使って汗をかいても一日中落ちないような工夫はしていましたね。

あとは、もみあげが全部なくなってしまうと、ウィッグをかぶったときにその部分だけ不自然になってしまうので、ブラウン系とかグレー系のカラーを混ぜてシェーディングしたりとか。ちょっとでも自然に見えるように工夫していましたね。

橋口:ありがとうございます。園田さんはどうでしょうか。

園田:もう30年以上モデルをやっているんですけれども、実はメイクって得意じゃなくて。だって、現場に行けばプロのヘアメイクさんがいるわけですよ。だから、人に教えられるようなものはないんですけど…。私の場合は、抗がん剤中でも眉毛もまつ毛も全部は抜けきらず、そこにプラスするだけでよかったんです。だから、眉はアイブロウで足すくらい。まつ毛はビューラーはしなかったかな、抜けちゃうのは嫌だったから。ボリュームマスカラをたっぷり目に使っていました。メイクといえば、抗がん剤3回目くらいでしたかね。薬の影響で無気力状態が続いて、毎日同じ格好。下手したらもう3日くらい同じ服装で、顔も洗っていないような日が続いたんですが、体調がふと良くなったタイミングで、友だちがランチに誘ってくれたんです。それまでの治療で、大体どんな体調変化が自分に起きるかはわかっていたし、このタイミングなら大丈夫だろうと思い、久しぶりにメイクをしたんです。マスカラをキュッとつけたときに、それまでグレーの世界だった私の視界が一気にキラキラキラキラってパステルカラーに変わったことがあって。病気ではないときでも、自分なりにでもメイクを頑張ったときってちょっとテンションが上がるのは、女性だったら多分みんなわかってもらえるんじゃないかと思うんですけど、あのマスカラを塗ったときの興奮は今までにないくらい大きくて、感動すら覚えました。ちょっとしたことではあるんですけど、治療の辛さを吹き飛ばしてくれて、メイクのありがたさというか、メイクのすごさっていうのを再認識しましたね。

乳がん治療中のファッションについて

服を選ぶ女性

橋口:続いて、闘病中のファッションや体型維持について教えてください。矢方さんと園田さんは外見のタイプも違えば、乳房再建をしたかどうかも違うので、ぜひお二人ならではのことをお聞きしたいです。

矢方:病気をする前は、好きな服を好きなように着ていたんですけど、抗がん剤治療ですごく太ったなとか、左胸を摘出したので身体の左右のバランスが変わったなっていうときに、なるべくがん患者っていうのがわからないようなファッションとウィッグを心がけるようになりました。その後、日によってテーマを変えてトータルコーディネートをするぞっていうのを日々の目標にする中で、また違う変化がありました。たとえば、乳がんになったばかりのときは、なるべく左胸が見えないようにとか左右のバランスをキープしようと工夫したり、首元が詰まった服を選んでいたりという感じだったんですけど、少しずつ左右非対称でもそれはそれで面白いのかなっていう風に思うようになり…。胸がなくても、それもひとつの個性だな、と。なので、最近ではあえて胸元が開いてるようなデザインの服を選ぶこともありますし、シースルー素材で体型を見せるようなときもありますね。ありのままの自分でファッションを楽しむようにしています。

橋口:すごく勇気がもてるお話ですね。ちなみに、ファッションに合わせてウィッグにもこだわっていたんですか?

矢方:完全に髪の毛が生えていなかったときは、フルのウィッグを使っていたんですけど、ベリーショートくらいまで生えてきたときにはウィッグをつけず、髪色をハイトーンにしてパンクファッションみたいにしていましたね。「あの人はファッションで短くしているんだ」って思われるように。ウィッグは、医療用とか普通のファッション用とかいろんな種類があるので、とりあえずいろいろ試して自分に合うのはどれかなというのを試していました。

橋口:モデルの園田さんには、ぜひプロの着こなし術というのを伺いたいです。闘病中は、メンタルも落ちてしまってファッションを気にする余裕がない人も多いと思うんですね。そんなときでもファッションを楽しむコツや、薬の影響で太ってしまった場合に、着痩せして見えるテクニックを教えてほしいです。

園田:私の場合、元の体験が細いというか薄いし、温存を選択したので、病気の前後でファッションを変えたというのはないんですけど…。それでも坊主になったときは、スカーフで頭を覆うっていうのは結構していましたね。お高めの物から古着屋さんで売っている500円くらいのものまで、十何種類も集めて、その日の気分で色や柄を変えて楽しんでいました。私自身はホルモン療法中の体型変化はなかったんですけど、乳がんの友達の中には体型変化の悩みを持っている人も多かったので、そんなときに教えていたのは、「縦ラインで見せる のが手っ取り早いよ」って。例えば、白や明るい色は膨張色なのであえてインナーに。ブルーや黒やネイビーの暗めのトップスやロングカーディガンを合わせると、縦にラインができるので、シルエットを細く見せられるんですね。ちょっとした工夫ですけど、オススメのテクニックです。

視聴者とのQ&Aセッション

橋口:園田さんは笑顔と元気が非常に印象的なんですが、その秘訣はなんでしょうか?

園田:あんまり深く考えない、ですかね。あんまり答えになってないか(笑)。

もちろん私も、治療中にメンタルすごく落ちたことは何度もあるんですけど、そういう時は、考えるとドツボにはまっていくので、頭を空っぽにしようとお笑い芸人さんの動画を見たり、落語を見に行ったりしていました。あとはね、もう治療中にハマったんですけど、韓国ドラマもいいかも。やっぱりイケメンを見ると幸せだなって(笑)。

橋口:続いての質問です。食べものについて気にしていたことはなんですか?

矢方:抗がん剤治療中は味覚障害が出たり、食欲がなくなったりということが結構多かったですね。それでも食べなきゃと思って、おかゆとかそうめんを食べていた傾向があります。あと、抗がん剤治療が夏の時期だったこともあり、かき氷もよく食べました。ホットフラッシュで身体の火照りを感じたときに冷たいものを食べると結構楽になるなっていう感覚があるので、今でもかき氷を食べて冷やすというのは続けていますね。

園田:私は抗がん剤治療中、好きだった生魚やお寿司は食べないようにしていました。

橋口:続いて、がんになってからやめたことはありますか?

矢方:がんになって辞めたことは意外とないです。むしろ始めたことの方が多いかもしれないです。主治医の先生に、「やっぱり体が元気なときは運動したほうが良いですよ」って言っていただいたので、それからというもの、ランニングやキックボクシング、最近ではゴルフを始めました。

園田:私もがんになってやめたことはないですね。ただ、がんになってから始めたことっていうのもあまりないかも。しいて言えば、落語をちょっと習ったりとかキャンプに行ったりとか、それくらいですね。

橋口:次の質問です。治療中のネイルケアについて教えてください。

園田:やっぱり爪が黒ずんだりしたので、ベースのないマニキュアをしていましたね。色は、ベージュとかだとちょっと透けて黒いのが出ちゃうのでちょっと濃いめの色を塗って、あとはネイルオイルをしっかり塗り込んで保湿をしていました。

矢方:私もやっぱり爪が黒ずんだので、濃い色をネイルで塗っていましたね。だんだんと状態がよくなってきたかなという時期からは、がんのアピアランスケアに特化したお店でジェルネイルをやっていただきました。そのお店では、患者さん向けのネイルケアの方法をわかりやすく教えていただいたりもしました。

橋口:なるほど、ありがとうございます。スマイルハートでは、ネイルチップの無償提供も行っていますので、ぜひインスタなどもチェックしてください。では、最後にコメントをいただけたらと思います。じゃあ園田さんからお願いします。

園田:今日は本当にありがとうございました。病気をしてすごく辛い経験もたくさんしたんですけど、乳がんになったからわかったこともたくさんありました。人生の悲しみとか喜びとか、そういう人生経験をさせてもらったなって。今だから言えることですけど、乳がんになってある意味良かった部分もあるなってすごく感じているんです。もしかしたら今闘病されている方も見てくださっているかもしれないですけれど、やっぱり明けない夜はない。未来はやってくるんです。私でも乗り越えられたので、皆さんも絶対に乗り越えられると思います。今日は本当にありがとうございました。

矢方:今日は本当にありがとうございました。なかなかコロナということもあってリアルでお会いできるイベントもないんですけど、こうやってオンラインで皆さんとつながってお話したり、意見交換できたりっていうのはすごく素敵なことだと思いました。自分もがんを経験して辛いこともあるんですけど、楽しいことは病気をする前と変わらず楽しいし、自分のやりたいことは諦めずにやれるんだなっていう瞬間もたくさんあると感じています。体のことはずっと気にしなくてはいけないですが、うまく付き合いながら、自分の好きなことを貫いていきましょう。今日は、本当にありがとうございました。

※この記事は2022年8月28日時点での情報を元に作成しています。

※がんを経験された個人の方のお話をもとに構成しており、治療等の条件はすべての方に当てはまるわけではありません。

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