がんの治療と仕事を両立させるには? 〜株式会社ファンケル 編〜

2025.07.07

日本人の2人に1人が生涯のうちにがんにかかり、そのうちの約3分の1の人が20~64歳までの働く世代といわれています。中でも、子宮頸がんや乳がんは他のがんと比べて若い世代で経験される方が多く、職場復帰の悩みを抱えている方は少なくありません。 

そこで、がん治療と仕事の両立支援制度を進めている企業に、具体的にどのような取り組みを行っているのかを伺ってきました。少しずつでも社会全体ががんになっても安心して働きやすく変わっていけるよう、お勤め先の人事の方にもぜひシェアしてみてくださいね。 

Profile
株式会社ファンケル 人財本部 健康支援室の皆さん

人財本部は企業理念の浸透・実行を推進し、会社の成長を目指す部署。健康支援室は、株式会社ファンケルが健康経営宣言を制定した2017年の翌年に設立され、がんを含む様々な病気や心身の不調を防ぐための取り組みを続けてきています。健康支援室の係長であり保健師の田中裕子さん(写真左)と、同じく保健師の清水祐子さん(写真右)にお話を伺いました。 

従業員の健康情報を一元化したことで取り組みが加速 

清水:私は以前、看護師をしていたのですが、当時医療の現場で感じた「どうすれば人は病気にならずに良い人生を過ごせるのか。どうすればより良い状態で働けるのか」という疑問に対して、企業で働くことがその解決策になるのではと考えて保健師になりました。

健康支援室ができたばかりの時期は、従業員の健康状態の把握にかなり時間がかかり、二次検診の勧奨のための書類を郵送していたなど、大変な労力を割いていたと聞きますが、健康管理システムを導入したことで健康情報の一元化が進み、予防に関する取り組みや、両立支援のサポートをする際の効率化が図れました。

チャットで気軽に相談が寄せられるなど、コミュニケーションツールとしても皆さんに活用いただけています。


― がんの治療と仕事を両立させるための取り組みを教えてください。 


田中:休暇制度では、がんなどの長期療養が必要な病気やケガなどになったときに最長1年休職できますし、有給休暇の取得は半日単位でできるようになっています。
また、がん療養中の方に対しては、社内外で利用できるサポートや、休職から復職、そして両立というところのイメージをもてるような情報をまとめた「がん治療と就労の両立支援ハンドブック」を作成し、イントラネットや健康管理システムでいつでも閲覧できるよう周知に努めています。
さらに、療養から復職する際には、復職プログラムを最長6か月実施し、産業医、保健師と人事、所属長が連携してサポートを行っています。 

まだまだ手探りの部分はあると思っていますが、従業員の声と向き合いながら、日々積み上げていっている状況です。 



清水:制度やサポートを活用いただいた従業員からさまざまな声をいただいていますが、やはり社内の状況を知っていて、医療知識もある人が会社との間に入って調整してくれるというところに価値を感じてくれている従業員が多いように感じています。

治療と仕事の両立という点では、医療機関や支援団体ではどうしても細かな業務内容などを把握しづらいというのもありますから。

がんの治療と仕事の両立支援を、どこから始める? 

― ファンケルさんは、子宮頸がん・乳がん・大腸がん・胃がん検診などについて、従業員の費用負担なく受けられるようにするなど、一次予防の観点でも非常に注力をされているそうですね。そうしたところから始まり、両立支援までされているのは本当に素晴らしいことだと感じます。まだがん対策を始めていない企業はどういうところから始めると良いのでしょう? 

清水:まずは担当者を立てて、従業員の方からの相談に対して、外部の窓口と繋いでいくというところから整備するのが良いのではないでしょうか?そういう形であれば、担当者の方が医療職である必要はないですから。 

より具体的には、たとえば、各都道府県に産業保健総合支援センター(さんぽセンター)というものがあるのですが、「保健師や医療職がうちにはいないけれど、がん治療と仕事の両立支援を行いたい」という風に相談すれば、専門職の方が応じてくれ、解決方法の助言をしてくれると思います。 


― さんぽセンターでは両立支援のためのマニュアル提供や、研修なども受けられるようなので、労務担当者のキャリアアップにもつながりそうですね。もし、がんによるびっくり離職が起きた場合、新たな人材を採用するのに必要なコストや期間が増えますし、企業風土に馴染んでパフォーマンスを発揮できるようになるところまで考えると、がん治療と両立を支援して復職してもらうことは企業側にも十分なメリットがあると感じました。 


【参考リンク】
▼株式会社ファンケル 健康経営の実現 (外部リンク)
https://www.fancl.jp/sustainable/human_resources/healthcare/index.html 

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