MICIN少額短期保険が主催した、FPの黒田尚子さんを囲むがん経験者座談会&ワークショップ。前編では、乳がんを経験された皆さんの実体験を話し合う座談会の様子をレポートしました。
後編の今回は、がん経験者の4名のゲストが黒田さんと一緒にライフプランを立てていくワークショップの様子をお伝えします。
がんに罹患するということは、人生にとって大きな出来事です。がんを経験された方は、生活面や金銭面、考え方が大きく変わることも少なくありません。
そこで今回は、MICIN少額短期保険が主催したFPの黒田尚子さんを囲むがん経験者座談会&ワークショップの様子をレポートします。参加された方々は、黒田さんを含め皆さん乳がんを経験。ゲストの4名は、罹患後にMICIN少額短期保険「がんを経験した女性を支えるがん保険(正式名称:乳がん・子宮がん・卵巣がん経験者専用がん保険)」に加入されています。
黒田尚子さん
保有資格:CFP®・1級FP技能士・CNJ認定乳がん体験者コーディネーター・消費生活専門相談員資格
1998年FPとして独立、NPO法人がんと暮らしを考える会・理事、城西国際大学・経営情報学部非常勤講師を務める。2009年末に乳がんの告知を受け、自らの体験から、がんなど病気に対する経済的備えの重要性を訴える活動を行う。
ゲスト紹介
ゆりこさん(仮名)
2021年秋に乳がんに罹患。不動産会社に勤務しており、宅建士の資格取得に向け勉強中。
くんさん(仮名)
2020年春に、乳がんの摘出手術を受ける。子ども2人を育てるママ。
チャコさん(仮名)
2020年夏に乳がんが発覚。9歳になる愛犬とともに暮らしている。
りなさん(仮名)
2016年春に乳がんに罹患。部分切除手術後、ホルモン療法を継続しながら保険営業の仕事に日々、奮闘中。
がんになった後も自分らしく生きる
ファシリテーター:まずは、黒田さんから「なりたい自分」を実現するための人生設計、マネープランの立て方について詳しくお話いただきます。
黒田さん:「こんな自分になりたい」「こんな生活を送りたい」という理想や希望があると思いますが、自分の身体のこと、経済面、国内・国外情勢など、不安なことも多いのではないでしょうか?そんな中、自分の夢を実現するため、がんになった後も自分の人生を生きるためには、次の3つのことが必要です。
- 自分をよく知ること
- 世の中の仕組みやルールをよく知ること
- お金と時間を上手にコントロールすること
この後のワークショップで「自分のこと」についてゲストの皆さんに分析していただきますが、自分をよく知るだけでなく、高額療養費や傷病手当金という制度を知らなければ、もらえるはずのお金ももらえません。また、いくらお金があっても時間は有限です。抗がん剤治療やホルモン治療の副作用で、家事・育児がままならないときもあるでしょう。そんなときには、お金を払ってでもヘルパーさんに頼って、自分の時間を節約するということもできます。お金だけでなく、時間の節約もときには必要です。
これからの女性に必要なのは、稼ぐ力です。もちろん、お子さんが小さかったり、体力が戻らなかったという理由で働けない方もいらっしゃるでしょうが、将来的には働くことを前向きに考えていただきたいですね。がんを経験された方は「バリバリ働く」というよりは、できるだけ長く、安定して働くことを優先されると良いと思います。
私は、がんに罹患した後もFPの仕事を続けていたのですが、家族からは「仕事は辞めるんでしょ」「家で寝てなさい」と言われていました。でも「なんで辞めなきゃいけないの?」と、さらっとスルーして働き続けていたんです。今思えば、あのとき仕事を辞めなくて本当に良かったと思っています。子どももそろそろ育ち上がる時期なのですが、そのときに自分がやりたいことを実現しようと思っても、自分に収入がなければなかなか難しいでしょう。「稼ぐ」ことも大事ですが、働くことで「社会に関わる」ことは健康面にも心身面にもとても良いことです。ボランティアでも、NPO法人でも良いと思います。がんに罹患した後も自分らしく生きるために、社会に関わり続けていただきたいですね。
夢や希望を“見える化”する
ファシリテーター:ここからは、ゲストの皆さんにご記入いただいたライフプランシートを拝見しながら、黒田さんにアドバイスを伺っていきます。
がんをきっかけに将来のことを考えるように
黒田さん:ライフプランシートには、現在、5年後、10年後の働き方、住まい、家族のこと、必要なお金を記入していただきました。まず、チャコさん。ご自身のライフプランについて、どのように考えていますか?
チャコさん:これまで貯蓄もせず「なるようになるさ」と思って生きてきたのですが、がんになって大きな壁にぶち当たった感じです。現在、46歳。社長秘書の仕事をしていますが、がんになる前はより好条件の仕事に転職したいと考えていました。ただ体調の不安もあるので、今は転職ではなく、今の会社で正社員になることを目標としています。経済的に余裕ができたら、愛犬と旅行に行ったり、会社に近いエリアに転居したりしたいですね。これまで計画性のない人生でしたが、がんをきかっけに将来のことをしっかり考えるようになりました。
黒田さん:チャコさんの場合は、まず貯蓄を増やすことを考えてみましょう。保険も大事ですが、一定の預貯金も必要です。なにかあったときに、半年ほど暮らせる分のお金が貯蓄できていると安心でしょう。そのためには、何にどれくらいの費用がかかっているか知ることも大切です。十分な貯蓄があることで、心にも余裕が生まれます。
目標が達成できれば、また新たな目標ができるはず
黒田さん:続いては、フルタイムで不動産会社に勤務しているゆりこさん。ライフプランシートを記入されてみて、いかがでしたか?
ゆりこさん:現在、私は47歳。2人の息子は大学生と中学生です。これまで、今日、明日のことしか考えずに仕事と子育てをしてきました。5年後、10年後のことを聞かれて「戸惑ってしまった」というのが正直なところです。目先の目標は、宅建資格を取ることです。がんに罹患したときも、戻る場所を残しておいてくださった今の会社に恩返ししたいという気持ちで頑張っています。5年後、10年後も、可能であれば今の不動産会社に勤務していたいですね。まだまだ、子どもにもお金がかかります。正直、今は子どもたちが巣立った後のことは想像できません。
黒田さん:「目の前のことに精一杯」というお気持ちは、すごくよくわかります。ただ、漠然とでも、5年後、10年後を考えてみることで、見えてくることもあるはずです。私は、乳がんに罹患した時点でステージ2B。「5年生存率は50%」といわれていました。5年しか生きられないとしたらこんなシートを書いても意味がないと思うかもしれませんが、その5年でできること、今からできることを具体化することが大事なんですよね。結果的に、すでに罹患から10年以上経っていて、今では毎年の定期検診だけ。元気に働けていますし、目標もできました。ゆりこさんも、宅建を取ったあとにまた新たな目標ができるはずです。次にどんなステップに進まれるのか楽しみしています。
「自分」がしたいことを考える
黒田さん:続いては、専業主婦のくんさん。ライフプランシートを書かれた感想を教えてください。
くんさん:これまで目の前のことに追われていて、5年後、10年後をしっかり考えていなかったと痛感しました。「家族で旅行したい」「家のリフォームが必要」など、家族で叶えたいことや住まいの将来については考えているのですが、自分の希望やステップアップという観点があまりにもなかったと思います。
黒田さん:結婚して子育てしている女性には、娘、母、嫁、妻という4つの役割があります。「母である自分」「妻である自分」を優先してしまうと、自分が何をしたいのかわからなくなってしまいがちなんですよね。でも、くんさんのお子さんも10年後には社会人と大学生。ほとんど手がかからなくなっているはずです。子どもがいなかったら、家族がいなかったら、自分は何をしたいんだっけ?と考えてみてください。やりたいことにはお金がかかるかもしれません。でも「お金がかかるから考えても無駄だ」とは考えず、コツコツお金を貯めてできることであれば、ぜひ実現していただきたいですね。
自分がやってみたいことに積極的に
黒田さん:それでは、最後に保険の外交員をしていらっしゃるりなさん。ご自分のライフプランについて、どのように考えていますか?
りなさん:がんになって痛感したのは、働き続けるのは簡単ではないということです。勤務している会社は育児などのサポートは充実しているものの、治療しながら働ける環境はまだまだ整っていません。ホルモン治療の副作用が辛かったときに上司に相談したら「みんなから同情されたいの?」と言われてしまい、とてもショックを受けました。「同情」ではなく「理解」してもらいたいんですよね。治療しながらでも働きやすい環境になるよう、私も会社に働きかけていきたいです。今、私は58歳。10年後には今の仕事をリタイアし、趣味やボランティアをして過ごしたいと思っています。最近、保護司として地域に関わるようにもなりました。ボランティアをするにも、地域の活動をするにも、経済面がしっかりしていなければなりません。外交員は成績によって退職金も大きく変わってくるので、仕事でも結果を出そうと今、奮闘しています。
黒田さん:自分のキャリアややってみたいことに積極的で、とても素晴らしいと思います。私も治療がひと段落した後、働けるようになったことが嬉しくて仕事に夢中になり、夫に「再発したらどうするんだ」と叱られたこともあります。でも、自分にとって居心地良く、活き活きとできることであれば、体調を見ながらやっていかれると良いと思います。社会とかかわりと持つをすることで、再発の恐怖がやわらぐこともあるはずです。
保険は罹患者・経験者の大きな支えに
ファシリテーター:最後に、皆さんから本日の感想をお伺いできればと思います。
ゆりこさん:私はステージ0で乳がんが見つかったので、抗がん剤治療はせず、薬の副作用を感じたこともほとんどありません。がんだったことを忘れてしまうことさえあります。今も変わらず仕事したり、資格の勉強をしたりと、前向きでいられます。ただこれも、保険に助けてもらったからこそです。心の底から、保険に入っていて良かったと思います。乳がんに罹患した方同士でお話できる場所、がんとお金について学べる場所は、これまでコロナ禍でほとんどありませんでした。今日こうして皆さんとお話させていただけて光栄でした。
チャコさん:再発や転移は、やはり怖いです。最近、Facebookのがんコミュニティーに参加したのですが、弱音を吐いたり、不安を分かち合ったりする環境は必要です。コミュニティーに入ってわかったのですが、保険に入っていなかった人も少なからずいらっしゃるんですよね。「がんを経験した女性を支えるがん保険」に加入したことを話したら「私にも教えてほしい」と多くの方に言われました。頼れる保険に加入できて、さらにこのようなワークショップまで開催していただいて本当にありがたいです。
くんさん:将来とお金のことを考える機会を与えていただきました。がんに罹患したからこそ将来のことをより考えるようになりましたが、やはり希望や夢を叶えるのにはお金が必要です。保険は、今の私のお守り代わり。経済面の不安が取り除けることで、精神面も安定します。
りなさん:今日は、自分の決意表明をさせていただいた感じです。心の整理ができました。私は保険会社に勤めているのですが、がんになったら入れない保険というのは非常に多いんです。がんになると不安になるし、落ち込みます。だけど、お金の心配がないだけで全然違うんですよ。今日は、保険の良さを改めて感じることができました。そんな機会を与えていただいて感謝しています。
黒田さん:私が思っている以上に、保険は、がんを経験する前の方にも、経験した後の方にも、力強い味方になるのだと感じました。今回の座談会が、これからを考える良いきっかけになれば嬉しいです。ライフプランや人生について、腰を据えて考えることってあまりないですよね。しかし、がんに罹患したからこそわかる毎日の大切さ、お金の大切さ、家族の大切さを振り返ることで、自分の人生を自分らしく、より良く生きられるのではないかなと思います。皆さまのこれからのご活躍を期待しています。
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