
マイナンバーカードの健康保険証利用、いわゆる「マイナ保険証」。
医療機関でも利用が広がりつつありますが、「結局なにが便利?」「使って困ることは?」と思っている人も多いのではないでしょうか。
この記事では、マイナ保険証の主なメリットと、利用時に気をつけたいポイントを、患者支援専門のFPの視点から整理します。
マイナ保険証とは?
マイナ保険証は、マイナンバーカードを健康保険証として利用できるように登録したものです。ですから、まずはマイナンバーカードを作っていることが必要。そして、マイナンバーカードを健康保険証利用できるように登録します。
登録は、次の3つの方法があります。
- 医療機関や薬局にある、顔認証付きカードリーダーで登録
- マイナポータルから登録
- セブン銀行ATMから登録
定期的に通院しているのであれば、医療機関や薬局で登録できますね。マイナ保険証を利用すると、受付時に薬剤情報や特定検診情報などの閲覧について同意の確認を求められるなど、従来の健康保険証との違いがあります。医療に関する情報はとても大切なものです。
仕組みを知り、安心して活用できるようにしておきましょう。
マイナ保険証のメリット
マイナ保険証は、医療DX(デジタルトランスフォーメーション)を進め、よりよい医療を受けられるようにするものです。さまざまなメリットがありますので、しっかり使いこなしていきましょう。
(1)医療情報の共有がスムーズに
医療機関や薬局の受付でマイナ保険証を使うと、過去の診療や薬剤情報、特定検診情報(40歳以上の場合)などの情報について、医療機関・薬局が閲覧することに同意するかどうかが選べます。それぞれの情報ごとに同意するかどうかを選択、同意した情報は医療機関・薬局に共有されます。飲んでいる薬を医師に聞かれても正確に答えられるとは限りませんが、共有されたデータであれば正確です。これにより、たとえば重複検査や重複処方を防ぐなど、治療の効率化や安全性の向上につながり、よりよい医療をうけることができます。
(2)高額療養費制度が自動で適用される
高額療養費制度は、支払った医療費が上限額を超えると払い戻される制度です。上限額は、年齢と所得によって定められています。ありがたい制度ですが、いったんは支払わなくてはならないことが負担でした。支払いを上限額までに抑えるには、これまでは入院前など高額な医療費がかかりそうになる前に、限度額適用認定証を取り寄せて、医療機関に提示する必要がありました。
しかし、マイナ保険証を利用すれば、資格確認システムを通じて所得区分が自動で判定され、上限額を超える医療費を立て替える必要がほとんどなくなります(ただし、オンライン資格確認を導入している医療機関・薬局に限ります)。急な入院時も慌てずに済み、手続きの負担が軽くなるのが大きな利点です。
(3)自分でも医療費情報を確認できる
マイナポータルにアクセスすれば、これまでの受診履歴や医療費の情報を一覧で確認できます。医療費控除の明細作成にも活用でき、領収証を1枚ずつ整理する手間が減ります。医療費をチェックすることもでき、医療費の見える化が進みます。
注意したいポイント
メリットがある一方、マイナ保険証にも注意したいことがあります。
(1)保険者がわかりにくい
保険者とは、加入している医療保険の運営主体です。大企業であれば健康保険組合、中小企業なら協会けんぽ。フリーランスは国民健康保険なので地域の自治体、というケースが多いでしょう。受けられる給付は、保険者によって異なることがあります。
たとえば、健康保険組合や協会けんぽであれば、病気やケガで休業したときに「傷病手当金」が受けられます。また、健康保険組合によっては、高額療養費制度の上乗せ給付があります(付加給付)。
保険者がわかれば受けられる給付を調べられますが、マイナ保険証を見ただけでは保険者はわかりません。
マイナポータルにアクセスすればわかりますので、しっかり把握しておきましょう。
(2)世帯合算は自動では行われない
高額療養費制度では、同一世帯の複数人が医療を受けた場合、同じ医療保険に加入している家族の医療費を合算できる仕組みがあります。
しかし、マイナ保険証を使っても、この世帯合算は自動で処理されません。
従来どおり、別途申請が必要ですので注意が必要です。
自動でやってくれると思っていた、と思って申請し忘れると、払いすぎになってしまうことも。
世帯合算は、69歳以下の場合は医療機関ごと、外来・入院ごとに、1か月間の支払いが2万1000円以上の場合が対象です。
高額療養費制度の申請は2年前までさかのぼれますので、体調が落ち着いた時などに忘れずに手続きしましょう。
(3)確定申告では手入力が必要なことも
1~12月の1年間に支払った医療費が一定金額を超えると、医療費控除が受けられます。とはいえ、医療費控除は確定申告が必要なので面倒に思う人もいるかもしれません。領収証やレシートを分類して計算するのは、体調次第では負担になることも多いでしょう。
しかし、マイナ保険証を利用すると手間が軽減される仕組みがあります。マイナ保険証では、医療費控除を申告する際、マイナポータルの医療費情報を自動で取り込めるようになっているからです。
ただ、まだすべての医療機関や薬局が対応しているわけではないことには要注意です。また、自費診療や一部のレシートは反映されず、自分で金額を入力する必要があります。1~12月の1年間に支払った医療費が一定金額を超えると、医療費控除が受けられます。
とはいえ、医療費控除は確定申告が必要なので面倒に思う人もいるかもしれません。領収証やレシートを分類して計算するのは、体調次第では負担になることも多いでしょう。
しかし、マイナ保険証を利用すると手間が軽減される仕組みがあります。マイナ保険証では、医療費控除を申告する際、マイナポータルの医療費情報を自動で取り込めるようになっているからです。
ただ、まだすべての医療機関や薬局が対応しているわけではないことには要注意です。また、自費診療や一部のレシートは反映されず、自分で金額を入力する必要があります。
家族の医療費や、ドラッグストアなどで購入した医薬品についても同様です。領収証を保管しておく習慣は、続ける必要がありそうです。
(4)利用できない医療機関もある
マイナ保険証の導入が進んでいるとはいえ、まだ一部の医療機関では対応していないところもあります。
とくに地方や小規模の医療機関では端末の設置が遅れている場合も。また、通信状況によっては受付がスムーズにできない場合もあります。
「今日はマイナ保険証が使えない」、と言われたときに困らないよう、念のため従来の保険証も携帯しておくと安心です。
理解して使いこなすことで、安心を広げる
マイナ保険証は、手続きや医療情報の管理を簡単にしてくれる便利な仕組みです。
一方で、「全部自動でやってくれる」と思っていると、制度のすき間で損をしてしまうこともあります。制度のしくみを少し理解しておくだけで、医療費の負担を減らしたり、手続きをスムーズに進めたりすることができます。
せっかく持っているなら、安心と便利さの両方を手に入れたいですね。

執筆 /松川 紀代(まつかわ きよ)
AFP、2級ファイナンシャルプランニング技能士
メディカルFPサービス代表、一般社団法人患者家計サポート協会
2011年に乳がんが見つかり治療。がんの治療とお金に悩んだ経験から、2015年より患者支援を主軸としたファイナンシャル・プランナーとしての活動をスタート。
また、2016年からピアサポーターとしても活動をしている(日本癌治療学会認定がん医療ネットワークシニアナビゲーター)。FPとピアサポーターの視点を生かした患者支援を目指し、執筆、相談を中心に活動。