「誰かの役に立ちたい」という思いから、SNSを通してがんの体験談や闘病記を発信する方が増えています。こうした発信を通じて、生活の変化や日々の率直な思いをリアルタイムで知り、そこから交流が生まれ、闘病生活の心の支えを得ている人も少なくないのではないでしょうか?闘病記の発信の仕方は人それぞれですが、このシリーズでは、イラストでご自身の体験を綴っているインスタグラマーに着目してご紹介していきます。今回は、乳がん治療や育児について綴っていらっしゃる宝あり子さんにお話を伺いました。
−SNSを通して、闘病記を発信しようと思われたきっかけは?
乳がんに罹患する前から、わが家の日々の出来事を4コマの形式の漫画などでブログを描いていたので、そのままブログで自分の闘病記録も綴るようになりました。ただ、乳がんを告知され、治療が始まったばかりの頃は、「抗がん剤をしたら寝たきりになってしまうのでは?」「嘔吐し続けるのでは?」「脱毛が怖い」といった不安と恐怖が大きかったですし、病気を受け入れられませんでしたから、すぐに病気のことを描く気持ちは起こりませんでした。私は「知らないこと」が何より不安でしたので、抗がん剤治療が始まる前にいろいろな方の闘病記を見て、治療内容を知ることで不安が少し和らぎました。そこで私と同じように不安な思いをされている方へ、少しでも「私の場合はこんな感じだよ!」と伝えられればと思い、ブログやSNSを使って発信するようになりました。それから、育児ブロガーの皆さんの記事を読んだこともきっかけです。育児ブログは、産後の孤独な育児の心の支えになっていたので、自分も少しは誰かの力になれるかもしれないと思ったのです。あとはママ友もいなかったので、ブログを通じて育児中のママたちと交流できたらな…という淡い期待もありました(笑)。
−イラストを使って発信しようと思われたのはなぜですか?
子どもの頃から絵を描くのが好きでしたし、漫画やアニメが大好きなので、幼少期から現在までずっと趣味で絵を描いています。 子どもが生まれ、育児ノートに落書きをしていたところ、それを見た私の妹が「絵日記ブログ書いてみなよ!」と言ってくれたので、ブログを始めました。ブログを始めたのは娘が4か月になった頃です。
ーSNSでの発信を続けてよかったことは?
乳がんを告知された当初は、本当に不安でしたし孤独感もありましたが、SNSで同じように病と闘っている方にたくさん出会うことができ、励まされましたし元気をもらいました。また、SNSで発信していると、たくさんのフォロワーの方からメッセージをいただくのですが、それがとてもうれしくて、メッセージをいただくたびに何度も読み返しています。コミックエッセイを発信するブログとしてスタートしたので、育児中のママやパパに読んでいただける機会も多いため、乳がんに関心をもっていただけることがあるのも、とてもうれしいです。「 闘病記を読んで乳がん検診に行くようになりました」という言葉をいただけたとき、発信してよかったと思いました。
−今後の目標があれば、教えてください
乳がんを告知されたときは、1年後の自分の姿をまったく想像できませんでした。でも、告知から2年経った今、新しい家族(猫)も増え、仕事に育児にドタバタしながらも日常生活を送っています。同じように病気に罹患されて不安な方に向けて、「こうして日常生活送れているよ」と少しでも伝わればという思いで、これからも病気のことや何気ない日常生活のことを、SNSで発信し続けたいと思っています。この病気は抗がん剤治療や手術後の再発・転移の不安などが尽きませんが、元気に楽しく日々を過ごしていくことが目標です!
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お子さんがいらっしゃる方にとって、避けては通れない「子どもへの乳がんの伝え方」について、全6回の投稿記事で紹介されています。伝え方について学んだものの、なかなかお子さんに伝えられなかったことが綴られています。
その後、お子さんに伝えられたときのエピソードは、「抗がん剤開始前の1週間 10〜完」の記事に綴られています。
No.3 抗がん剤副作用 爪のお話 取れていく爪…1
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抗がん剤の回数を重ねると、爪が黒く変色してしまったり、剥がれてしまたりしたそう。さらには指先も弱ってきて、冷たいものや熱いものに触れることが難しくなってしまった宝あり子さん。これから抗がん剤治療を始められる人は、家事をする際に指先を守る方法について考えておくといいかもしれませんね。
No.4 言葉って難しい…がん患者にかける言葉
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宝あり子さんは、治療中にかけてもらった「がんばれ」という言葉に励まされたものの、一人ひとり言葉の受け取り方は違うもの。言葉選びの難しさを痛感されていらっしゃいます。
※がんを経験された個人の方のお話をもとに構成しており、治療等の条件はすべての方に当てはまるわけではありません。