「誰かの役に立ちたい」という思いから、SNSを通してがんの体験談や闘病記を発信する方が増えています。こうした発信を通じて、日々の率直な思いをリアルタイムで知り、そこから交流が生まれ、闘病生活の心の支えを得ている人も少なくないのではないでしょうか?闘病記の発信の仕方は人それぞれですが、このシリーズでは、イラストでご自身の体験を綴っているインスタグラマーに着目してご紹介していきます。 今回はSNSで乳がんと胃がんに罹患した経験を、闘病記としてイラストで発信している「えびちゃん」さんのインタビューをお届けします。手術まで楽しんでしまうたくましくてかわいいえびちゃんの魅力を、ぜひチェックしてみてください。
Instagramはこちら
・がんの種類:乳がん
・投稿開始日:2020年9月20日
・フォロワー数:1,312人(2022年10月25日現在)
・投稿数:204件(2022年10月25日現在)
がんに罹患したことをきっかけに、 闘病記を描き始め、自費出版を行うまでの経緯や、乳がんと胃がんという二度のがんを経験したことなどを中心に綴っている
―闘病記を描き始めたきっかけは?
私は、乳がんに罹患したのをきっかけに、自分の記録用として、スケッチブックに闘病記を描き始めました。文章を書くのが苦手なので、絵を描いたり写真やパンフレットを貼ったりする方が向いていると思ってはいましたが、何回か続けていると、あることに気づいたんです。それは、描くことで気持ちが落ち着き、前向きなパワーが湧いてくること。私は辛い闘病生活を、この闘病記の制作に支えてもらったと思っています。 私が辛い闘病生活を経験した後、仲のよい友人までも乳がんに罹患したことがわかり…。「何かできることはないかな?」と考えたときに、自身の闘病記を貸すことを思いつきました。友人は、闘病中にその日記を何度も何度も読んでくれたそうで、「日記をバイブルにして前向きに頑張れた」と言ってくれました。
さらにその後も、乳がんの疑いがある友人や、家族が乳がんになった友人も増えてきて 、その度に闘病記を貸しました。その度に イラストで描いてあるから 読みやすかった」「コミカルなタッチに癒やされた」「同じ病気の人に力を与えられる闘病記だと思う」 といった感じで 、さまざまなお褒めの言葉をもらいました。「自分のために描いた闘病記だったけれども、少しでも人のためになるのなら!」と、思い切って世に出すことにしたのです。
そこで「えびちゃんの心がちょっと楽になる乳がん胃がん闘病日記」(幻冬舎・電子書籍)を出版することを計画。出版に向けて制作を進める中で、友人や出版者の方から 「せっかく本を出版するんだから、SNSを始めて多くの人に知ってもらったら?」とアドバイスをもらったことがSNSを始めたきっかけです。そしてSNSでは、本には掲載できなかったエピソードを「闘病日記番外編」として投稿しました。また、出版の過程も「出版への道のり」として投稿してあります。
−SNSで発信を続ける思いを教えてください
SNSを始めてから、がん患者さんの多さに驚いているところです。現在進行形で辛い治療をされている方、長期間治療をしている方、いろいろな方が闘病日記を投稿されています。私は「誰かの役に立てたら」という思いで始めましたが、皆さんの明るく前向きな投稿を読んでいるうちに、私が元気や勇気をもらっています。また、たくさんのがんサバイバーさんと繋がることができたのも喜びのひとつです。DM(ダイレクトメッセージ) でお互いの話をしたり、励まし合ったりする友人もできました。
−今後の目標があれば、教えてください
機会があれば、「がん教育」に携わっていきたいです。子どもたちががんをむやみに怖がらないように、誤解や偏見をなくすために「がん教育」は大切です。自分の体験をもとにがんについて、また命の大切さについて教えられたらいいなと思います。そういったことを、講演会などで伝えていきたいです。 「人生に無駄なものはない。どれも意味がある」と、ある講演会で聴きました。私ががんになったことも無駄ではない、意味があると思いました。同時に、がん体験を伝えていくことは私の使命だと強く思いました。これからも「明るく 元気に 前向きに」をモットーに発信を続けていきたいです。
編集部イチオシ投稿をご紹介!
No.1 闘病日記番外編 ⑭
https://www.instagram.com/p/CO5CGHzlNh2/?utm_source=ig_web_copy_link
「えびちゃん」さんにとって一番辛かった副作用についての投稿。手のしびれや痛みをどう乗り越えたのかも解説されています。
No.2 闘病日記番外編⑮
https://www.instagram.com/p/CPVW4C4lPBv/?utm_source=ig_web_copy_link
手術の日のリアルが書かれていておもしろい投稿です。手術前に読んでおくと、少し不安な気持ちが紛れるかもしれません。
No.3 闘病日記番外編⑯
https://www.instagram.com/p/CP5azxCgbyO/?utm_source=ig_web_copy_link
手術室をドラマの世界のようだと好奇心いっぱいに楽しむ「えびちゃん」さんのたくましさや前向きな姿に、パワーが湧いてきます。
No.4 えびちゃんの闘病日記 出版までの道のり⑪
https://www.instagram.com/p/CGhjz3bFowq/?utm_source=ig_web_copy_link
えびちゃんの「出版までの道のり」が、全26回 シリーズでまとめられています。とくに記事11は、本づくりの骨子に関わる情報が詰め込まれているので、SNS、ブログなどでの情報発信に興味がある方にもおすすめの内容です。
えびちゃんの書籍紹介
仕事が大好き二児の母。健康が取り柄だった明るく前向きなえびちゃんが、突然乳がん、そして胃がんに罹患したことをきっかけに、闘病記を描き始める。その後、友人からのすすめで闘病記を綴った書籍の自費出版を計画し、「えびちゃんの心がちょっと楽になる乳がん胃がん闘病日記」( 幻冬舎・電子書籍)を発行。現在、Amazon、楽天ブックス、hontoはじめ、25社で販売中。「『がん』になったらこの先一体どんな出来事が起こるの?」「治療ではどんな人が支えてくれるの?」など、えびちゃんの入院生活を通して、そんな疑問をやさしく解消していく本。
※がんを経験された個人の方のお話をもとに構成しており、治療等の条件はすべての方に当てはまるわけではありません。